「フリムン徳さんのアメリカ便り」第41号
ほんまに、そんなこと、あんのかいな
                                    

2008.4. 6

□□ エッセイ 『ほんまに、そんなこと、あんのかいな』  □□   
                         フリムン徳さん

 世にも不思議な、想像もできない「奇跡現象」の体験談である。
 ある日本の男性の方の生死に関わる体験である。第1回目の体験――彼は小さい頃、海で溺れかかって、ある女性に助けられた。第2回目の体験――彼は大人になって、ハワイ旅行をした。とある行き止まりの道に二人の人相の悪い男に追い詰められて、盗難に会う寸前だった。偶然にそこへ身体の大きな日系の男性が現れて、助けてくれた。彼は警察官であった。第3回目の体験――は、彼がゴルフ場のクラブで食事を終えて、外へ出たら、ウェイトレスが「忘れ物ですよ」と呼び止めた。頭を彼女に振り向けた途端に、目の前をすれすれにジェット機の速さのゴルフ球が飛び去って行った。もし、彼女に呼ばれて、頭を振り向けていなかったら、彼の頭をゴルフ球が直撃したという。ビ

 彼はこの三つの体験談を通じて何を調べてみたか。
 彼はこの自分を助けた3人の名前を調べたのである。どうなったか?
 なんとこの3人の名前が全部同じ名字の「山本」さんであった。
 彼は今度はどうしたか? 今度は、そのことを占い師に聞いてみた。
 占い師の言葉は「昔、あなたの祖先が、山本という人を助けたことがある」でした。山本か、山田か、あるいは違っているかも知れまへん、このフリムンは忘れたのです。

 私は25回以上の見合いをした。
 しまいには見合い疲れして、喜界島の美代ねえに頼んで、顔も見ないで、坂嶺村の今の嫁はんと結婚してしもうた。ところが美代ねえの旦那さん三代二先生が、私に子ども二人も出来た50数年後に言った。「徳市は、小さい頃、坂嶺村の人と結婚する」と言っていた。私はそんなことを言ったことはちっとも覚えていなかった。これも偶然の一致だろうか。

 これは映画でもない私に実際に起こった話です。
 私が南サンフランシスコに住んでいた頃です。ある朝、車のエンジンがかからないので、トーイングカーを呼びました。私の車を大きなトーイングカーに乗せて、私は運転手の横に乗って、近くのホンダのディーラーへ向かいました。右側の大きな墓地を越えたら、少し緩やかな下り坂に差し掛かりました。私と話をしていたトーイングカーの運転手が後ろの荷台を振り向いたら、乗せたはずの私の車が消えておるのです。"乗せた私の車はどこへ飛んでいったのか"運転手が見つけました。飛んでいませんでした。私の車は左横の中央車線を他の車と同じように仲良く並んで走っていたのです。
 運転手もいない、誰も乗っていない車が、他の車と並んで、何もない様に走っていたのです。
 これは映画ですか、いや違います、現実です。
 
 不思議なことでした。朝のラッシュアワーなのに車がすいていました。 
 外側車線を走っていた運転手は慌てて車を道路横に停め、車の合間を縫って、ゆっくり走っている私の車のドアを開け飛び乗って、無事に、道の横につけたのです。ラッシュアワー時だったのに、外側車線の車の流れが途切れていたのも幸運だった。どのドライバーもこれに気づいてない様子でした。ホンダのディーラーでこの話をすると誰も信じがたい様子でした。車はほとんど無傷な状態でした。私が知りたいのは、いったいどんな落ち方をしたのか。
 車の落ちたところは大きな墓地の傍を走っていたときでした。
 墓地には何かがある。

 私が夜間高校生の頃、大きくなったら何になるかと考えたのは3つあった。一つは大工さんだった。小学生の時工作が上手だったからだ。二つ目は商売人になることだった。これは人を「説得する本」に影響されたと思う。三つ目は物書きになることだった。夜間高校生の頃、おもろい文章をよく書いていたからだろう。私は59歳までに商売人、大工さん、物書きの三つの夢にえがいていた職業をみなやってしまった。商売人として10年以上、大工さんとして26年プロとして生活できたが、物書きは端くれとしてまだ4年たったところだ。どの職業も偶然にその職業に就いたのである。これらのことは心に描いていたのが現実になったケースのようだ。

 私がロスアンゼルスで大工を始めた頃、もう27,8年も前の話です。まったく知らないある人からお骨入れを木で作ってくれと私に注文があった。旦那さんのお父さんが死んだので、お骨を入れて日本へもって帰るそうです。私はその人の名前を聞いてびっくりしました。その死んだ人が、喜界島の私のおじいさんの従兄弟だったのです。私のおじいさんの死んだ従兄弟から骨入れの注文があったのです。

 コンピューターで調べたら、奇跡現象、偶然の一致を研究した生物学者カメラーや心理学者ユングは、すなわちこの世には、通常の因果律を越えた「超因果律」ともいうべき法則が存在していて、たとえば、それは64のパターンからなる中国の「易」のシステムに見ることができると言っている。分子、光子、量子力学、超因果律、とか私にはわからん難しい言葉ばかりでてきよる。とうとう意味がわからんようになってきた。

 でも、強く心にえがいたり、念じたことが現実になるケース、あるいは夢で危険を予知した正夢、予期しない、想像すら出来ないまったくの奇跡現象、偶然の一致などは超能力が作動した結果ではないだろうか。その超能力を起こす人を私は知っている。それは私の場合は自分の一番身近な喜界島のウヤフジ(ご先祖様)が起こしていると信じている。困った時も、苦しい時も、楽しい時もウヤフジです。あの世からウヤフジが私たちを見守っているのです。ウヤフジが奇跡を起こしてくれるのです。

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